自分が影響を受けた麻雀戦術本を振り返る 1
「今年はたま子軍団というものを多くの人に知ってもらえて良い年だったな」
たま子団長が珍しく嬉しそうだった。
10月のたま子軍団杯、本当に皆さんのおかげで素晴らしい大会にする事ができた。
「4,5卓くらい立ててみんなで麻雀大会するやつをやってみたい」
そんな何気ない団長の一言で始まったたま子軍団杯計画であったが
それがまさか参加者50人という規模の大会になろうとは。嬉しい誤算とはまさにこの事である。
「また大会を開こう、必ずな」
僕は(大会で声枯れるくらいには頑張ったしそろそろ軍団したっぱから昇格のお話でもあるんじゃないか?)と内心ワクワクしながら、
「そうですね」
と返した。すると団長は突然、
「だがお前ら、最近肝心な麻雀がたるんどるぞ」と言い出す。
なんだなんだと思ったが団員の市原くんが
「どういうことですか?松屋おじさんは日々ドラクエライバルズに明け暮れてますし、わっしょいくんは団長が働いてる間に一生懸命団長の家でYouTubeの配信をしてますよ。嵯峨くんは大学で研究、いいぞくんは日々バイト、僕は天鳳の観戦で、ぽんでらいおんは保存です」
(返答になってねぇよ)と思わずツッコミを入れたくなったが、団長はそれを聞いて
「うーむ確かに」と唸っていた。
なんで納得しているのか僕には全く分からなかったが、団長はさらに
「お前らは本当に俺の麻雀から学んでいるのか?入会してからリーグ戦は連続昇級、ビッグタイトルのクラシック決勝進出、今の俺の麻雀を見ずしてどうやって強くなろうというんだ」
などと急にアツい持論を語り始めた。
「だったら決勝であんな9p打たないでほしかったよ団長」といいぞくんが言うと、
「俺は一通が好きだからな」
とやっぱり返答してくる。
「今よりずっと下手だった時の事を思い出せ。お前らはどうやって麻雀強くなってきたんだ。俺の麻雀を見て育ってきただろう」
(いやそんなことはないけどな)と僕は心の中で思いながら話を聞く。
「下手だった昔の方が向上心があったはずだ。どうやったら強くなれるのか。何を変えればいいのか。色々な事を考えながら麻雀をしていただろう。Mリーガーのミスを指摘したら麻雀強くなれるのか?お前は麻雀プロのミスを暴くために麻雀しているのか?そうじゃないだろう」
突然の団長のアツい言葉に僕は涙を堪えながら(やっぱり俺にはたま子団長しかいねえんだ)と思うのだった。
そして、そういや自分ってどうやって麻雀の勉強してきたんだっけと思い返す。
戦術本。
僕にはこれしかなかった。
大学入学してすぐに麻雀と出会った僕は、やるからには強くなりたいからと色んな戦術本で勉強することにした。
最初はよくセットしてた。けど一緒に麻雀してた友人達は完全なエンジョイ勢だったから、これじゃあダメだとなる。確かに楽しかったけれど、麻雀の戦術の話とか、あの時これを切れば良かったとか、そういった話は一切なかった。モチベーションの差というやつだ。
結局、麻雀を鍛えてくれる人は僕にはいなかった。自分1人で麻雀強くなるためにどうしたらいいのかと考える。
行き着いた先は「戦術本を読み、天鳳をやる」というものだった。
ということで、僕が麻雀を覚えてから、かなり影響を受けた戦術本はなんだったのか?そしてそれを読んだ結果自分の麻雀がどのようになったのか?を時系列で紹介していきたいと思う。
1
小島武夫「絶対に負けない麻雀」
発売日 多分僕が産まれる前
面白さ ☆☆
内容 ☆
タイトル詐欺度☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
原点にして頂点。言わずもがな、僕が麻雀を始めて一番最初に読んだ戦術本である。
麻雀を始めて間もない頃、僕は若かりし頃の小島武夫がイカサマを紹介する動画を見て「すげぇ…………」と感銘を受けていた。
その人が書いた戦術本と来れば買わない手段はない。ぽんでらいおん当時18歳、あの小島武夫が書いた戦術本、こいつを読めば俺も強くなれるぞと本当に胸を躍らせて購入したのだった。
内容
かなり前に読んだので記憶が曖昧だが簡潔に述べると、
「この手組みかっけぇだろガハハ」から始まり道中「阿佐田哲也は強かった」を挟んで「間四軒は刺さるから俺は止めたぞ」アピールからの再び「阿佐田哲也は強かった」と主張してきて最後は「お前この河で萬子のホンイツだと思わないだろ?俺の迷彩はすげぇんだぜ」で終わる。
要するに、もはや戦術本ではない。ただの自伝である。当時の僕は目を輝かせて読んでいたが色々と学んでいくうちに「あれはとんでもねぇ本だったな」と思い返すようになった。
タイトル詐欺とはまさにこのことで、「かなりの確率で負ける麻雀」というタイトルの方が相応しいと思う。あれに書かれてることを真似したら大体負ける。
影響
特になし。「小島武夫の麻雀を目指そう」と決心しなかった当時の自分を本当に褒めてあげたいと思う。
ただ強いて言うなら「麻雀は高打点を目指すゲーム」という感覚を僕に植え付けてくれたという点では少し影響を受けたかもしれない。
読み終えて「へぇ小島武夫ってすげぇんだなぁ」という感想を抱いたぽんでらいおん18歳であったが、そもそも「基本的に内側に寄せましょうタンヤオは強いですよ」くらいしか理解していなかったので、結局何をしたら勝てるようになるのか分からなかった。
そんな中、たまたま寄ったコンビニでこんな本を見かける。
2
福地誠のコンビニ本シリーズ
発売日 僕が麻雀始める前
面白さ ☆☆☆☆
内容 ☆☆☆☆☆
表紙のズルさ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
表紙が流石にズルい。「どうやったら麻雀勝てるようになんだよ」と悩んでいた当時の僕からしたら「必勝法!」「勝ち組はこうする!」の文字だけで簡単に釣られてしまうのだった。
内容
実はコンビニで立ち読みしただけなので、コンビニ本シリーズのどれを読んだのかすら記憶が曖昧である。
ただ、「愚形でもガンガンリーチをかけろ」というのは当時の僕の悩みを大きく解消してくれるものだった。
流石に満貫クラスの手はポンコツ頭の僕でもリーチをできていたが、なんかよく分からない愚形ドラ1みたいなやつとかは結局どうしたらいいのか分からなかったから、1つ悩みを解消できて喜んでいた記憶がある。
そして何より、雀ゴロ福地誠という人間をこのコンビニ本で知った。コラムでフリーの収支を記録したものとかあって結構面白かった。
「麻雀強くなりたいなら福地誠」に、変わった。
影響
恐らく初めて参考にした戦術本。とにかくリーチが強いってことを理解できただけでもかなり大きな収穫だった。
ということで「勝ち組はこうしてる!」を福地誠から学んだ僕はいよいよ2014年の11月に天鳳を始めることになる。麻雀と出会って半年くらい。負ける気一切なし。
結局このアカウントがどうなったのかは後ほど。
そして年が明けて2015年。
僕の麻雀人生を良い意味でも悪い意味でも狂わせた、あの本が世に出るのだった。
3
堀内正人「神速の麻雀」
発売日 2015年2月
面白さ ☆☆☆☆☆
内容 ☆☆☆☆☆
モノマネ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この本は相当話題になってた。目から鱗の戦術だらけ(といっても当時の僕はそもそも麻雀のセオリーなんてものは知らないから僕がこれを読んで驚くことは特になかったが)である。
僕の麻雀の最初の土台と言っても良い。「この本に書かれていることをとにかく真似してみよう」と決心した記憶がある。僕にとっての最初の麻雀教科書である。
内容
「先制愚形1300はリーチだし親リーに対しても愚形1300で追っかけて問題ない(宣言牌の危険度とかで変わったっけ?)」
「役牌は鳴いた瞬間アガれるようになるんだから全部鳴け」
「聴牌はさっさと取った方が良い」
「メンツ手単騎リーチを恐れるな(今の山越リーチみたいなやつ)」
恐らくこれらが結構印象的だったんじゃないか。タンピンドラ1イーシャンテンみたいな今の自分ならずっと我慢してるチーテンとかもかなり早めに取った方が良いみたいなことが書いてあって、当時の僕はこれらを徹底して真似するようにした。
とにかく速度重視。ひたすら真っ直ぐ打ってひたすら鳴いてメンゼン聴牌は大体リーチ。ある意味シンプル。
影響
そりゃあ山ほど受けた。僕はホーリーのモノマネをするために麻雀をしてるといっても過言ではないくらい。それくらい新たな知識ばっかりかかれた本だった。ドヤ顔で愚形1300アガるのが楽しかった。ドヤ顔で4センチ1000点アガるのが楽しかった。大して点棒は増えてないけど、「俺はホーリーの麻雀を体現できている」と酔いしれる毎日。
天鳳の副露率は当然のように4割を超えた。
「福地誠とホーリーの真似してれば麻雀は勝てる」という結論を出し、鳴くのが大好きになった僕は、数ヶ月後にまた新たな戦術本と出会うことになる。
2015年の夏の出来事であった。
続く